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Outcome, Performance and resources(5)

さて後半、Watt先生に続き、Dr. Whitemanが公共サービスの監査(Audit)・検査(Inspection)について講義しました。

イギリスには地方自治体の外部監査を所管する親玉、Audit Commission(監査委員会)があります。正直、ここだけだと思っていたのですが、何と分野別に検査組織が沢山あるのです。たぶん一番大きいのが教育部門の監査を行うOFSTED (Office for Standards in Education, Children’s Services and Skills)、Health and Social Careの監査を行う Care Quality Commission、公共住宅関連の Tenant Service Authority、警察分野のHMIC (Her Majesty's Inspectorate of Constabulary for England, Wales and Northern Ireland)、保護観察分野のHM Inspectorate of Probationなどで、以前はもっとあったのが、統合されたようです。

OPSR(Office of Public Service Reform)の統計では、公共サービスへの外部検査に要する費用は、97/98年に250Milだったものが、02/03には550Milに増加したとのこと。イギリスポンドは高値(260円)と最安値(130円)がすごく違うので換算が難しいのですが、まあ200円として1,100億円です。思わず授業そっちのけで換算してしまいました。ちなみに単純比較はできませんが、参考までに、日本の会計検査院の平成20年度の支出は164億円です。

いやー、1,100億円ものお金を事業じゃなくて検査するためだけに使うのってどうなの、と思うのはみな同じなようで、パブリックの検査について論文を色々書いているSteve Martinも同じ指摘をしていますし、まだ読んでないし読むかどうかわかりませんが、UK等で盛り上がる監査の潮流を批判した「Audit Society」というMichelPowerの本も有名なようです。

授業の中で、現在は多数の監査・検査組織が並立していて、独自の基準や手法で検査を行っているが、受ける方としてはダブリがあったりするので、メタ・ガバナンスの考え方を取り入れ、連携を持った監査・検査組織の集合体を作り、そこで情報共有や事例共有を行えばよりよくなるのでは、という指摘もありましたが、いや、そもそも、そんなにいくつもあることの方が問題では、何を呑気な、とちょっと思いました。

あと、以前はAuditとInspectionの役割がまあ分かれていたが、もともと、厳密に分けるのは難しいものであり、加えて最近はRegulationも混在してきて、不適切事項を指摘するのと、改善指導をするのと、効率化や品質向上に向けて助言を行うのと、規制を行うのが混ざって監査・検査組織に期待されているという話がありました。ただ、不適切事項を検知するのと、改善に向けた助言を行うのは違う能力・知識が求められるので、それを一緒くたに一つの監査・検査組織に求めるのは適切でない、という指摘がありました。

そしてケーススタディとして出てきたのがドンカスターの事例です。私はイギリス人ではないのでよくわかりませんが、ドンカスターはどうも評判のよくないことで有名な(変な日本語)自治体のようです。Audit Commissionの報告書が配られたのですが、すごいのが、最初にあるサマリーの最初の一行が「ドンカスターは失敗している。」でした。こんな自治体の面子を丸潰しにするようなこと言ってもいいのかなー、それは自治体の議員やトップを含めた職員の反発を招くだけで、監査委員会の「俺たちは厳しいんだぜ!」というパフォーマンス入ってるんじゃないの、と思うのは私だけですかね。
報告書のボディでは失敗と判断される理由が挙げられていますが、正直、私にはよくわかりませんでした。基本的には、市長の能力に問題があるのと、市長と議会与党の対立により事務が正常に遂行されないのが最大の問題なようで、加えて、一部のサービスが基準に達していない、というのが失敗している理由です。しかし、その根拠は主にインタビューや職員アンケートで、これらはかなり主観的な調査手法です。第一、政治的な対立についてのインタビューは、相当バイアスがかかった証言ばかりになると思います。加えて職員アンケートでは、市長や議員に対してもそれほど悪い評価をしていません。また、自分たちのサービスの品質にも自信を持っているし、職場に満足している人も7割です。職員全員がひどい怠け者で、低いレベルで満足しているという仮説も成り立ちますが、これ、根拠がないので。
監査委員もプロなので、根拠のある監査を行っているのでしょうが、素人の私には報告書だけからは読み取れませんでした。ドンカスターの実態を知っていれば納得する点が多いのかもしれませんが、私から見ると、イマイチ納得いかない監査報告書でした。

個人的には、そんなに多数の監査・検査組織があって、多額の予算を消費し、しかもその結果、根拠のあいまいな(と私には見える)報告書で、改善指導ならまだしも、自治体の面子をいきなり丸潰しにするようなこのイギリスの制度ってどうよ、と思いました。私は自治体職員なので、余計に同情的になるのかもしれませんが。
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2009年からバーミンガム大学大学院に留学をはじめました。これからバーミンガム大学を目指す方・40歳を超えて留学しようという方のために、おぼえがき的に少し残しておこうと思います。

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