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書評: The Essential Public Manager

タイトル:The Essential Public manager
著者:Christopher Pollitt
Open University Press 2003

目次
1 Public sector, private sector,-where would we be without a few good stereotype?
2 The 'New Public Management'-revolution or fad?
3 Partnerships, network, joined-up governance,the information age (and all that)
4 Politicians, accountability, citizens and participation-public managers facing every which way?
5 Evaluation-how do we measure success?
6 Values, ethics and motives-what makes public manager tick?
7 Getting and giving advice on public management

基本的には、公務組織のマネージャーにとってどうか、という視点を中心にして、様々なトピックについて論じた本です。ユニークなのは、著者がちょっと口が悪いのと、各章にテーマに沿った寸劇(「公的サービスって何さ」という酒場での議論など)が挟んである点でしょうか。

個人的に一番面白いと思ったのは3章のパートナーシップについての議論です。イギリスでは、1990年中ごろから、パートナーシップ、ネットワーク(政府白書などではJoint-up Governance)がひとつの流行であって、決して新しい概念ではないとのことでした。また、パートナーシップ等は一般的に「善」と考えられていますが、その動機を分析すると、
1 マネジメント改革・近代化のため
2 民間資金を調達するため
3 公共の正当性(様々な組織の知見を集めているんですよ、というイメージ)
4 リスク分散(主に金融面)
5 公共部門の縮小
6 パワーシェア(協力的・水平的関係をとっている、というイメージ)

など、「善」に限らず様々あるということです。加えて、パートナーショップを政策として推進するEU連合や中央政府からの要求(パートナーシップによって事業を実施しないと、補助金を出さない等)を挙げています。

筆者はパートナーシップに反対しているわけではありませんが、パートナーシップにはコストがかかること、アカウンタビリティの問題があること(誰が責任者?)、本当に「よりよい」結果をもたすのかについての実証的研究が少ないこと、デモクラシーの問題があることなどを認識すべき、という指摘をしています。
また、パートナーシップを構築し、機能させるためには、手順と留意点があり、それを具体的に挙げています。(内容は、自身の指摘のほか、他の研究者や政府白書の指摘を整理し、順に並べています)

7章で筆者も述べていますが、「パートナーシップ」と聞いただけで、漠然とわかったような感じになりますが、定義を明確化することは重要だと感じました。また、議論は細分化して行うべき、とも感じました。特に筆者はcontext(背景・状況)が重要であり、「一般的に適用できる」手法や研究結果はない、と繰り返し強調しています。

7章では、「で、学者の研究ってどういう役に立つの?」という問いに対し、「がっかりさせてすまないけど、こうすればうまくいく!的アドバイスはできません」とのことですが、学者のできることを6つ挙げています。
1 定義の明確化 2 誤った前提・思い込みを問い直す 3 データ収集方法のアドバイス 4 意思決定プロセスについては、研究が沢山あるのでcontextに応じてアドバイス可能 5 他の似たような事例の「的確な(つまりcontextに応じたもの)」提示 6前例の提示

だそうです。学者としては当たり前ですが、ハウツー本(欧米を席巻した「一分間マネージャー」など)については、一般化が過ぎることと、実際にその手法を使ったのかの実証が難しく、それで成功したとしても成功要因が判断できないなど否定的です。

あとは順番が逆になりましたが、UKやニュージーランドではNPMは20世紀の遺物であり、もう息絶えたという認識だが、他の地域ではまだ「行政の近代化」の中心にあって、筆者の経験でも、2002年に日本を訪問した際には、NPMのことばかり聞かれた、とのことでした。うーむ。

全体の印象としては、概論の解説本ではなく、様々な指摘がされている、ピリッと辛い本、でしょうか。ただし強弱があり、評価(Evaluation)の章は、あまり新しい指摘がなかったような気がします。
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テーマ : イギリス
ジャンル : 海外情報

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lc630

Author:lc630
2009年からバーミンガム大学大学院に留学をはじめました。これからバーミンガム大学を目指す方・40歳を超えて留学しようという方のために、おぼえがき的に少し残しておこうと思います。

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